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Classic Selection 1964
日本の安全保障とアメリカの政策

ジョージ・ケナン

Japanese Security and American Policy

2012年1月号掲載論文

  • 日米同盟の歴史的前提 <一部公開>
  • 中ソの脅威とその構図
  • 朝鮮半島の安定化
  • 「安保」以後の日本の世論
  • 日米同盟安定化のシナリオ
  • アメリカの選択肢

<日米同盟の歴史的前提>

国策としての戦争を禁止する日本国憲法によって、日本は大規模な軍事力を保持しない路線を堅持している。しかし、国際紛争の種には事欠かないというのが現実であるため、いかにして日本の防衛を確実なものにするかについては、これまでも大きなテーマとされてきた。

だが、私の理解が正しければ、マッカーサー将軍は、少なくとも一九四八年当時は、アメリカそして日本の安全保障のために、日本列島に米軍を恒常的に駐屯させる必要は必ずしもないと考えていた。彼が考えていたもっとも好ましい方策とは、日本が国連の監視下に入り、アメリカの利益に反しない形で、非軍事化、中立化されることだったようだ。

私同様、マッカーサー将軍は、日本の軍事化および中立化にソビエト政府が同意すれば、ソビエトの日本に対する攻撃の可能性も少なくなり、また他の勢力が日本の安全保障を脅かす可能性もほとんどなくなるとみていた。もちろん、こうした考え方は、対日講和をめぐるアメリカ、ソビエトを始めとする関係諸国間の合意をその前提としていた。

しかし、ワシントンは一九四九年に、日本との単独講和交渉の即時開始を決定した。その理由は今もってはっきりとはしていないが、この決定は、実質的な日米同盟がいずれ誕生すること、そして日本における米軍基地および防衛施設が半ば恒常的に維持されることを意味した。

朝鮮戦争が勃発する以前に、日米間の予備交渉はすでにかなり進展していた。日米間の予備交渉の進展、そして交渉を通じてみせたアメリカの対日姿勢が、共産主義勢力による朝鮮半島での攻撃開始決定にどの程度影響を与えたかについては今後の歴史的な検証を待つしかない。確かに、対日講和交渉の進展のみが、共産勢力による攻撃決定の要因だったとみなすことはできないが、日米交渉の進展が朝鮮戦争とまったく無関係であったとみなすのもまた不可解だろう。・・・

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