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CFRミーティング
世界エネルギーアウトルック
――天然ガス革命、温暖化、石油、クリーンエネルギーの未来

スピーカー
ファティ・ビロル 国際エネルギー機関(IEA)チーフエコノミスト
プレサイダー
エドワード・L・モース シティグループ・グローバルマーケットマネージング・ディレクター

World Energy Outlook 2011

Fatih Birol 国際エネルギー機関のチーフエコノミストで、世界有数のエネルギー市場分析者として知られる。IEAが毎年出版し、エネルギー市場分析・予測として高く評価されているワールド・エネルギー・アウトルックのディレクター、そして各国の政策決定者にエネルギー市場のビジネスプロスペクトをブリーフする「IEAエネルギービジネス評議会」の責任者も兼務している。OPEC事務局で6年間勤務した経験がある。トルコ出身で、現在はフランスに在住。

2012年1月号掲載論文

仮に脱原発が世界的な流れになれば、何がどう変わるのか。原発施設の停止による電力生産の減少分は、主に再生可能エネルギー、天然ガス、石炭を用いた電力生産で埋められていく。この場合、石炭と天然ガスへの需要がさらに高まり、当然、価格は上昇する。エネルギーミックスの多様性も低下し、二酸化炭素排出量が増大する。各国政府は、ドイツ政府のように脱原発を求める市民の声に耳を傾ける必要があるが、(環境とエネルギーという)国益からみた構造的な必要性にも配慮する必要がある。というのも、現状では、地球の気温が6度上昇する軌道にあるからだ。さまざまな地球温暖化対策の議論が行われているにも関わらず、この事実は変わらない。実際、2010年には二酸化炭素排出量は史上最大レベルへと達しており、現状が何も変化しないとすれば、2017年には地球の気温上昇を2度に抑える機会は永遠に失われてしまう。しかも、各国政府は、クリーンエネルギーのための予算を財政赤字問題に対処するために充当しつつある。これまで再生可能エネルギーを積極的に推進してきたヨーロッパの主要国も、再生可能エネルギーへの補助金を打ち切りつつある。・・・

  • アメリカの原油輸入量は半減する
  • 天然ガス革命、石炭
  • 原子力と地球温暖化問題
  • エネルギー使用効率の改善
  • すべての人に電気のある生活を
  • クリーンエネルギー投資と電力生産コスト
  • シェールガスの未来
  • 石油安全保障と原油価格

<アメリカの原油輸入量は半減する>

エドワード・モース IEA(国際エネルギー機関)は世界エネルギーアウトルックを発表した。この年次出版物の特徴はその年のトレンドを次年度以降の予測に反映させていくことにあり、エネルギー産業のベンチマークとして高く評価されている。まず、2012年の予測としての2011年版アウトルックの主要なテーマと結論について簡単に説明してほしい。

ファティ・ビロル 今回のアウトルックは700ページ近くの大著となった。さまざまなテーマを分析したが、ここでは私が重要だと思う点をいくつか紹介しよう。このなかにはすでに社会で取り上げられ、議論されているテーマもあるが、一方で、重要であるにもかかわらず、まったく注目されていないテーマもある。五つか六つのテーマを指摘しよう。・・・

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