疾病の蔓延が中国経済を脅かす
―― 中国は「アジアの病人」なのか
The Sick Man of Asia
2011年12月号掲載論文
経済成長ばかりを気に懸ける中国の指導者たちは、深刻な公衆衛生部門の問題を見落としている。毛沢東が築いた公衆衛生システムが1980年代初頭に崩壊して以降、政府が医療や公衆衛生に支出する対GDP比予算の比率は減少し続け、その結果、中国はHIV/AIDS、結核、ウイルス性肝炎などの病原体やウイルスの脅威だけでなく、非感染性疾患(慢性疾患)にもうまく対処できずにいる。問題は、中国政府が医療ケアの提供を、市民の権利としてではなく、市民に対するチャリティとみなしていることだ。しかも、中央・地方政府に対する評価が手堅い経済成長を実現できるかどうかで判断されるために、中国の官僚たち、特に地方の役人たちは医療ケアを強化・促進していくというインセンティブを持っていない。お粗末な医療の現状を放置すれば、中国の政治・経済の安定そのものが脅かされることになる。
- 急激に悪化する人々の健康
- 大躍進と「裸足の医者」
- 経済改革の実施と医療の混乱
- SARSの衝撃で変化した中国政府の対応
- 高額化する医療費
- 汚染大国とアジアの病人
- 疾病蔓延が経済と政治を脅かす
- 改革の見取り図
- 医療制度の改革
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