ユーロゾーンの再構築を
―― インソルベンシーと資金不足を区別した危機対策を
Can Europe’s Divide House Stands?
2011年11月号掲載論文
かつてギリシャやイタリアは「競争力が低下している」と感じたときは、自国通貨を切り下げたものだ。その手段を奪われたユーロ導入後も、周辺国はユーロ建て国債の発行を通じて資金を借り入れることで、増税策をとることなく高い歳出レベルを維持した。だが、その結果、周辺国の多くが莫大な債務の山を築き、いまや破綻の危機に直面するリスクは限りなく高まっている。ここからどうユーロゾーンを守り、立て直していくか。財政統合やユーロ共通債では、目の前にある火事は消せない。それよりも、インソルベンシーによる危機と資金不足による危機を区別することだ。インソルベンシー危機に直面しているギリシャ、アイルランド、ポルトガルに管理型ディフォルトを認める一方、資金不足に派生する危機に陥っているイタリアとスペインには改革の意思を確認した上で、資金を供給する。こうすれば、経済のバランスが回復され、ヨーロッパは世界経済において再び大きな役割を果たせるようになる。
- より同質性の高いユーロゾーンを
- 単一通貨の功罪
- ソブリン危機はなぜ起きたか
- ユーロ共通債と救済策
- 管理型ディフォルトを認めよ
- ユーロ圏の最後の貸し手
- 第3の方法
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