欧州によるスマート・ディフェンスを提唱する
―― 緊縮財政時代の大西洋同盟

アナス・フォー・ラスムセン NATO事務総長

NATO after Libya

Anders Fogh Rasmussen 第12代NATO事務総長。デンマークの国際派政治家で、2002年にはEU(欧州連合)の議長を務めた。2001年から2009年までデンマーク首相を務めた後、NATO事務総長に就任。

2011年9月号掲載論文

冷戦終結以降、NATOに加盟するヨーロッパ諸国は防衛支出を約20%削減している。一方、軍事予算のレベルを大幅に引き上げている新興市場大国は、欧米と必ずしも利害認識を共有していない。つまり、そこにあるのは、グローバル秩序に利害を共有するプレイヤーの数がかつてなく増えているにも関わらず、それを擁護していこうとするプレイヤーの数が少なくなっているという皮肉な現実だ。私が提唱する「スマート・ディフェンス」とは、他国と協力し、より柔軟な路線をとることで、これまでよりも少ない予算で安全保障を維持していく防衛態勢だ。防衛費を増やすかどうかではなく、それをいかにスマートに用いるかで今後は左右される。多国間アプローチを模索し、大西洋同盟の戦略志向を強め、グローバル化が作り出した安全保障問題を管理していくために新興国と協力する必要がある。ヨーロッパ防衛により一貫性をもたせ、大西洋の絆を深め、他のグローバルアクターとNATOの関係を強化していくことこそ、経済危機が安全保障危機を招き入れるのを阻止する唯一の方法だろう。

  • リビア後のNATO
  • 減少し続ける欧州の軍事予算
  • 軍事予算削減のグローバルな意味合い
  • スマート・ディフェンスとは何か

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