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イギリスの暴動と緊縮財政路線
―― 緊縮財政と階級政治の政治学

マティアス・マタイス アメリカン大学准教授

The Son of Brixton

Matthias Matthijs アメリカン大学准教授で、ジョンズホプキンス大学のポール・ニッツェ・スクールの講師。著書に、『イギリスの理念と経済危機の歴史―アトリーからブレアまで』(Ideas and Economic Crises in Britain From Attlee to Blair) がある。

2011年9月号掲載論文

2011年夏、イギリスの複数の都市で起きた暴動の背景には、財政・債務危機と政府の緊縮路線に対する反発があった。暴動は、緊縮財政路線への不満と階級政治が重ね合わせられた結果の社会反乱であり、その構図は、30年前にイギリスで起きた暴動を彷彿とさせる。当時のサッチャー首相はこの危機に強硬な治安対策で対処した。その後、小さな政府を目指すネオリベラリズム路線が消費の拡大をもたらし、経済を浮遊させたことで、最終的に危機は克服された。だが、いまは消費の拡大など望みようもない状況だ。政府は銀行救済のために介入したが、貧困層への救済策はとらなかった。それどころか、福祉と社会保障プログラムを打ち切らざるを得なくなった。イギリスが陥っている事態は、他の諸国にとっても他人(ひと)事ではないだろう。結局のところ、大きな社会格差、低成長、そして緊縮財政はイギリスに特有のものではない。いまや主要先進国を含む、多くの諸国が似たような状況に直面しているのだから。

  • 何が暴動を引き起こしたのか
  • 歳出削減の政治学 ――サッチャーとキャメロンの違い
  • 社会格差と暴動

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