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日本問題
―― 異質な制度と特異性に目を向けよ

カレル・ファン・ウォルファレン

The Japan Problem

Karel van Wolferen オランダ人ジャーナリスト。この論文を発表したことで、日本理解に関する修正主義者(日本異質論者=リビジョニスト)と呼ばれ、日本異質論をめぐっては国内でも大きな論争が起きた。後に発表した著書『人間を幸福にしない日本というシステム』はベストセラーとなった。邦訳分は編集を経たオリジナルからの抜粋。(初出は「諸君」1986年1月号。フォーリン・アフェアーズ傑作選 1922~1999 アメリカとアジアの出会い(下)に転載。)

1986年1月号掲載論文

日本における政治と政治手法は、ほかのアジア諸国や欧米のそれとはまったく違っている。日本は過去数世紀にわたって、互いに権力を分かち合う、半自立的な諸集団間のバランスを注意深く保つ政治スタイルをずっと維持してきた・・・

  • 日本に危機認識はあるか <一部公開>
  • 政治責任の所在がわからない
  • 特殊すぎる市場経済
  • かみ合わない議論

<日本に危機認識はあるか>

世界の二大経済大国が深刻な対立状態に陥っている。日本とアメリカの経済紛争は、瞬く間に政治紛争へと拡大しようとしている。双方は互いに共存できる状況を作り出そうと努力してはいるが、見通しは暗い。

日米間の紛争は、両国が互いに相手にどう対応すればよいかわからないでいるだけに、大きな危険をはらんでいる。

アメリカは日本の政治経済の特質を理解しておらず、このために日本の行動は到底受け入れられないと考えている。だからといって、アメリカを責めるわけにもいかないだろう。日本のことを、「市場経済システムを信奉する民主主義国家社会の一員」として自己規定したのは、ほかならぬ日本人だからだ。

東京は、形式的な議論と空約束を重ねて、事態を一層悪化させている。こうした議論や無意味な約束ゆえに、アメリカの議員や企業家たちは、「自分たちはだまされている」と確信し始めている。現実には、日本が市場経済・民主国家であるとする考えを含む、一連の虚構が存在することが、外国人が日本にうまく対処できずにいる大きな理由なのだ。

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