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いずれギリシャはディフォルトを宣言する
―― 欧米の自爆装置と化したグローバル金融システム

マーク・ブリス ブラウン大学教授(政治経済学)

China's European Shopping Spree?

Mark Blyth ブラウン大学教授(国際政治経済学)。政治科学、経済学、社会学、複雑系など、領域を超えた研究と分析に取り組んでいる。最近、フォーリン・アフェアーズで、ナシーム・ニコラス・タレブとの共著で発表した「ブラック・スワンの政治経済学」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年7月号掲載)は世界で大きな話題になった。

2011年9月号掲載論文

パリとベルリンの経済官僚たちは、「この10年にわたって、周辺国は生産性が伸びていないにも関わらず、賃金レベルを引き上げたのが間違いだった」と批判するが、考えるべきは、周辺国がその資金をどこから調達したかだ。資金の出所はフランスとドイツの銀行だ。つまり、(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル)などの周辺国の一つでも債務を履行できなくなれば、危機はEUの主要国へと瞬く間に広がりをみせていく。そして、ヨーロッパの危機はMMFとCDSのエクスポージャーによって、アメリカの銀行にも非常に深刻なダメージを与え、ヨーロッパとアメリカのリセッションはますます深刻になる。ここで、中国は何をするだろうか。のどから手が出るほど欲しがっているあらゆる技術、宇宙工学技術、金融資産をヨーロッパから非常に安い価格で入手するかもしれない。中国が台頭し支配的な影響力を持つようになるのが間近なのか、遠い将来なのかはともかく、欧米はグローバルな金融システムを、自分たちにダメージを与え、中国を大きく利することになる装置へと変貌させてしまっている。

  • 中国がヨーロッパを買い漁る?
  • 金融危機が肥大化させた先進国の債務
  • ヨーロッパ周辺国のディフォルトは避けられない
  • ヨーロッパの金融危機は米中にどう作用するか

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