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苦しみのなかにある人を助けるのは チャリティか、責務か
―― 人道主義における義務と思いやりについて

マイケル・ウォルツァー プリンストン高等研究所 社会科学名誉教授

On Humanitarianism

Michael Walzer アメリカの政治哲学者。プリンストン大学、ハーバード大学で教鞭をとり、現在はプリンストン高等研究所の社会科学名誉教授。ディセント誌の共同編集長。

2011年8月号掲載論文

われわれは、人道援助をフィランソロピー(利他的な奉仕活動)の一形態だと考えている。ハイチでの地震、アジアでのツナミなどの被災者を支援するのは、人々を苦しみや生命の危機から救い出そうとする慈善行為で、これは明らかに良いことだ。しかし、人道主義は、「思いやり」というだけでなく、むしろわれわれの「責務」、「義務」なのかもしれない。そうしないのが間違っているからだ。思いやりと責務は二つで一つのセットであり、困難な状況にある人々にわれわれが与えるべき贈り物なのかもしれない。人々は、数多くの選択肢のなかからどのようにチャリティを行うかを決めるが、そのためにどの程度の時間をさき、努力し、お金を寄付できるかが選択の基準とされる。だが、正義の観点から何が必要かを理解せずに、適切な判断を下すことはできない。人道支援のチャリティと責務をセットにして考え、どのような正義が必要なのかを検討しなければならない。正義へのコミットメントは個人として市民として、われわれが果たすべき義務である。

  • なぜ人は困っている人を助けるのか
  • 義務としての慈善行為
  • 慈善と正義は二つで一つの概念
  • 理想的なチャリティとは
  • チャリティがチャリティとして成立する環境とは
  • 国際社会での人道支援活動の難しさ
  • 国際人道支援の責任分担
  • 国際社会における救済と復興

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