原油価格大変動の時代へ
――生産調整能力を失ったサウジアラビア
A Crude Predicament
―― The Era of Volatile Oil Price
2011年7月号掲載論文
今後、原油価格のボラティリティ(乱高下)は当面続き、その悪影響から逃れる方法はほとんど存在しない。すでにサウジの生産調整能力は消失しており、それが回復する見込みもないからだ。新興市場の原油需要が急増する一方で非OPEC産油国の生産が伸びなかったために、他の産油国同様に市場の需要を満たすか、価格調整のために原油備蓄をするかの決断を迫られたサウジは、前者の道を選び、結局、備蓄を使い切り、生産調整能力を失ってしまった。こうしてサウジは「原油市場の中央銀行」の役割を失い、世界は、2007年以降の原油価格の乱高下を経験することになる。サウジの生産調整能力が回復する見込みは乏しく、不安定な現状が当面続くと考えられるだけに、各国の企業、中央銀行、そして外交担当者は、地図のない世界での舵取りを強いられることになる。しかも、原油市場には非常に大きな経済的、地政学的帰結を伴いかねない、嵐が吹き荒れている。投資が不足しているし、産油国とシーレーンの不安定化に市場と経済が敏感に反応するようになり、リセッションのリスクも再び高まっている。
- 失われた原油価格の調整機能
- 「原油市場の中央銀行」サウジの台頭と凋落
- なぜサウジは投資に消極的になったか
- 価格ボラティリティの経済と外交への余波
- 対策はあるのか
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