ユーロとEUを救うには
―― 「ハードな」ケインズ主義を導入せよ
How to Save the Euro - and the EU
―― Reading Keynes in Brussels
2011年6月号掲載論文
危機に直面したユーロ経済を前に、ドイツはユーロ参加国にさらに厳格な歳出削減を制度化するように求め、2011年3月に各国は、ドイツ同様に、歳出削減措置を国内で法制化し、これを憲法に盛り込むことに合意した。だが、厳格な歳出削減措置は、ヨーロッパ経済に短期的なダメージを与えるだけでなく、長期的にはEUの政治基盤そのものを揺るがしかねない。いかなる政治制度も、有権者に経済の調整コストを繰り返し負担させながら正統性を維持していくことなどできないからだ。金本位制下の国家はまさしくこの轍を踏んで失敗した。厳格な歳出削減策で何とか債券市場を安定させることに成功しても、すでに損なわれているEUの政治的正統性がさらに損なわれれば、EUそのものが存続のリスクにさらされる。将来の経済危機のリスクを最小化し、経済危機に陥ったときに政治的に維持できない厳格な緊縮財政をとらないで済むような長期的な制度を導入するために、ヨーロッパは再びケインズに学ぶ必要がある。
- 超緊縮財政の政治的余波に目を向けよ
- 財政政策を縛る「債務ブレーキ」
- インフレを許容し、借入を増やすしかない
- 欧州はなぜケインズに学ぶべきか
- ケインズ主義で危機に対処するには
- 政治と経済を融合させるには
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