中東における2011年革命のルーツと行方
―― スルタン体制の終焉

ジャック・A・ゴールドストーン ジョージメイソン大学教授

Understanding the Revolution of 2011

Jack A. Goldstone ジョージメイソン大学公共政策大学院教授で、米国務省顧問。専門は社会運動、革命、国際政治。フォーリン・アフェアーズで発表した「世界を変える四つの人口メガトレンズ」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2010年1月号掲載)は日本を含む世界各国で大きな話題となった。

2011年5月号掲載論文

ムバラク、ベンアリのような中東におけるスルタン主義の独裁者は、個人の権力と権限を維持していくことにしか関心はない。従順な支持者を主要ポストに据え、制度の頭越しに政治を行う。水面下で富を蓄え、この資金を用いて指導者への忠誠を買う。いかなる形で国に資金が流れ込もうと、そのほとんどは、スルタンとその仲間内の懐へと流れ込む。軍を分裂させて、軍事エリートを自分の管理下に置く。だが、スルタン主義独裁制の下で、経済が成長し、教育制度が整備されてくると、状況に不満を抱き、「こうあるべきだ」と考える人が増え、警察による監視体制や権力乱用に対する反発も大きくなる。民衆を手なずけることを目的に体制側が実施してきた補助金その他のプログラムのコストが上昇すれば、大衆を政治から遠ざけておくのは難しくなり、軍の一部も状況への不信感を強める。これが中東革命の背景だった。これからどうなるか。スルタン体制の歴史をひもとけば、今後の展開が、考えられているよりも明るくも暗くもないことがわかるだろう。

  • スルタン主義支配者とは
  • スルタン体制のもろさ
  • 中東のスルタンと民衆革命
  • 君主制はなぜ倒れないか
  • 民衆革命後の中東はどうなる

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