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CFRブリーフィング
債務上限に達したアメリカの財政と政治
―― 米経済のディフォルトリスクとドルの命運

U.S. Debt Ceiling: Cost and Consequence

2011年5月号掲載論文

米連邦準備制度理事会のベン・バーナンキ議長は、(米議会が債務上限の引き上げに応じず)アメリカ政府がディフォルトを宣言せざるを得なくなれば、「景気回復の道は断たれ、再度、金融危機を誘発する恐れがある」とコメントしている。仮にディフォルトに陥らなくても、議会が債務上限の引き上げ承認に手間取れば、アメリカ経済、そして世界経済に大きなダメージが出る。・・・・JPモルガン・チェースのジャミー・ダイモンCEOは、債務上限問題を軽くみることに警告を発し、上限引き上げに向けた行動を明確にとらなければ、近い将来に本当にディフォルトに陥る危険があると指摘し、同氏は、「今後に備えて、きわめて慎重な措置をとる」と表明している。米政府がディフォルトを宣言せざるを得なくなるリスクはどの程度あるのか、ドルは準備通貨の地位を維持できるのか。

  • 債務上限と自由国債法
  • 議会が債務上限の引き上げに応じなければ
  • 市場の反応、そしてドルへの影響は

<債務上限と自由国債法>
アメリカでは連邦政府の債務の上限、あるいは債務シーリングが法律によって定められている。5月16日に、米政府は債務額が14兆2900億ドルに達したことを表明し、米議会に上限の引き上げを認めるようにと要請している。すでに緊急措置によって政府は8月上旬までの資金を確保しているが、議会が上限の引き上げに応じなければ、国防や社会保障などの分野における政府の活動やサービスに支障が生じる。エコノミストの多くは、議会が債務上限の引き上げに応じなければ、アメリカはディフォルト(債務不履行)に陥り、金融危機が再び誘発されると警告している。だが、議会共和党の一部は、債務上限の引き上げをめぐる交渉を通じて、政府からより大規模な歳出削減と長期的な財政改革への確約を引き出したいと考えており、今後の展開は予断を許さない。・・・

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