トルコはイスラム、欧米のどちらを選ぶのか
―― 誤解されるトルコの新外交路線
Pax Ottomana? ―― The Mixed Success of Turkey’s New Foreign Policy
2011年4月号掲載論文
フローティラ事件をめぐるイスラエルとの対立、そしてイランとの核燃料スワップ合意をめぐる欧米との確執によって、いまやトルコは西洋の一部ではなく、イスラム世界を志向し始めたのではないかと考えられている。たしかに、トルコは中東各国と緊密に接触し、中東版の超国家共同体をまとめあげる構想にさえ意欲をみせている。だが、アンカラは依然として欧米とのつながりを重視している。他の中東諸国とは違って、EUとアメリカの尊重されるパートナーであり続けていることが、トルコの繁栄と正統性を支えており、他の中東諸国はこれをうらやましく思っている。これがトルコの強みだ。中東問題の経済、安全保障面での余波を受けているのは、欧米諸国よりも、むしろ、トルコのほうが当事国だ。だからこそ、トルコは欧米とは異なる手段で問題を解決しようとしている。トルコが有する異なる手段とアプローチは、むしろ欧米に機会をもたらすことを認識すべきだ。
- 誤解されやすいあいまいな国
- トルコの台頭
- 変化したドイツとフランスの態度
- ゼロプロブレム外交が引き起こした問題
- 中東への関与路線
- 中東の多国間構想を牽引するトルコ
- 積極外交の盲点
- フローティラ事件とイランへのエンゲージメント
- 東と西をつなぐ
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