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国際通貨戦争、保護主義の台頭を避けるには―― 通貨価値ではなく、各国の国内経済戦略を見直せ

ラグラム・ラジャン
シカゴ大学経済学教授

Currencies Aren't the Problem

Raguram Rajan シカゴ大学のブース・ビジネススクール教授。国際通貨基金のチーフエコノミストを過去に務めた。現在、インドのマンモハン・シン首相の名誉経済顧問も兼務している。最近の著作にFault Lines: How Hidden Fracture Still Threaten the Word Economyがある。

2011年3月号掲載論文

グローバル貿易の不均衡が続けば、金融と政治を不安定化させ、長期的には通貨戦争を含む非常に危険な状況に遭遇する。そして、各国が国内経済戦略を大幅に変化させない限り、こうした不均衡はなくならない。通貨をめぐる最近の緊張は、各国が長期的にとってきた国内経済政策が重層的にもたらした持続不能な貿易不均衡に派生している。そして、不均衡を是正していくには、国際合意を通じてではなく、各国が長期的利益を重視した国内経済戦略へと独自の判断でシフトしていく必要がある。途上国経済にとって必要なのは、先進国への依存度を引き下げ、もっと支出を増やすことだ。一方、アメリカのような先進国は、消費を減らしつつ、生産を強化し、輸出を増やす必要がある。国際的な資本の流れをより穏やかで、リスクを常に意識したものへと変化させるための規制の見直しも必要だ。一方、各国が改革を嫌がり、過去に成功をもたらした経済戦略に政治的に固執し続ければ、1930年代の悪夢に再び直面することになるかもしれない。

  • 通貨ではなく、国内経済戦略を見直せ
  • 途方もない特権か、非常に不利な役回りか 
  • 金・ドル本位制からブレトンウッズ体制の崩壊まで
  • 借入による消費と大リセション
  • 輸出主導と内需抑制のメカニズム
  • アジア諸国はなぜ外貨準備を積み増しているか
  • 需要と消費を新興国へアウトソースする
  • バブルの発生と崩壊を避ける規制を
  • 三つの義務
  • 変化の日は近い

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