Review Essay
富める者はますます豊かに
―― アメリカにおける政治・経済の忌まわしい現実
Why the Rich Are Getting Richer
2011年3月号掲載論文
富裕層の一部に驚くほど富が集中しているのは、市場経済とグローバル化の結果であるとこれまで考えられてきた。だが、実際には、格差の拡大には政治が大きな役割を果たしている。富裕層を優遇する政策だけでなく、アメリカの多元主義的政治システムにおいて、資金力にものをいわせる保守派が大きな影響力と権限をもつようになり、中産階級の利益代弁機能を抑え込んでしまっている。この流れの起源は、意外にも、アメリカのリベラリズムがピークを迎えた時期とされる1960年代にある。この時期に、自分たちの社会的影響力が地に落ちたことを痛感した企業エリートたちは、保守の立場からイデオロギー、政治、組織の領域でカウンターレボリューションを進めていった。・・・
- グローバル化が格差を広げたのか
- 格差を広げたのは政府と議会だった
- 政策の「漂流」
- 1960年代における企業の反転攻勢
- 社会的病を断ち切るには
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