イラン核武装の脅威と封じ込めの限界
―― イラン、イスラエル、サウジによる核秩序の危うさ
The Dangers of a Nuclear Iran
2011年3月号掲載論文
イランが核開発に成功した場合に、短期的にもっとも心配しなければならないのは、イランとイスラエルの対立が激化し、両国がともに相手に対する核の先制攻撃を試みる危険があることだ。長期的には、サウジその他の中東諸国が独自の核開発を模索するようになり、核の軍拡レースが生じ、地域秩序を大きく不安定化させるかもしれない。この場合、中東にはイラン、イスラエル、サウジという三つの核保有国が誕生する可能性が高く、この複雑で不安定な核秩序のなかで、イラン封じ込めを成功させるのは容易ではない。現状で必要なのは、外交努力を強制力で支え、拡大抑止レジームの基盤を築き、軍事キャンペーンが最後に残された妥当な選択肢となった状況でそれを選択できるように、中東に展開する空軍力と海軍力を増強しておくことだ。
- 核武装したイラン封じ込めを楽観すべきではない
- イランとイスラエルの核
- 核をめぐるサウジの「イスラマバード・オプション」
- 中東では核秩序は成立しにくい
- 対イラン抑止はうまく機能しない
- 「受け入れられないことを受け入れる」
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