金融危機が出現させたGゼロの世界
――主導国なき世界経済は相互依存から
ゼロサムへ
A G-Zero World
――The New Economic Club Will Produce Conflict, Not Cooperation
2011年3月号掲載論文
市場経済、自由貿易、資本の移動に適した安全な環境を作りだすことを覇権国が担ってきた時代はすでに終わっている。アメリカの国際的影響力が低下し、先進国と途上国、さらにはアメリカとヨーロッパ間の政策をめぐる対立によって、世界が国際的リーダーシップを必要としているまさにそのときに、リーダーシップの空白が生じている。われわれは、Gゼロの時代に足を踏み入れている。金融危機をきっかけに、さまざまな国際問題が噴出し、経済不安が高まっているにもかかわらず、いかなる国や国家ブロックも、問題解決に向けた国際的アプローチを主導する影響力をもはや失ってしまっている。各国の政策担当者は自国の経済成長と国内雇用の創出を最優先にし、グローバル経済の活性化は、遠く離れた二番目のアジェンダに据えられているにすぎない。軍事領域だけでなく、いまや経済もゼロサムの時代へ突入している。
- 主導国を欠いた秩序
- G7からG20そしてGゼロへ
- 「気がつけば運転席に誰もいない」
- 誰がドルを必要としているのか
- 経済安全保障時代の終わり
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