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紛争か協調か
――『文明の衝突』、『歴史の終わり』、『大国政治の悲劇』で 21世紀を読み解く

リチャード・K・ベッツ コロンビア大学教授

Conflict or Cooperation

Richard K. Betts 米国家安全保障会議スタッフ、ブルッキングス研究所フェローを経て、コロンビア大学教授に。米外交問題評議会非常勤シニア・フェロー。専門は国家安全保障、アメリカの国防・安全保障戦略、国際紛争、テロなど。

2011年3月号掲載論文

暗闇では銃を発射できないように、世界がどのように機能するかについてのビジョンなしに、政策を決めることはできない。だからこそ、現実主義者は、この世にいない経済学者か、政治理論家の奴隷となるしかない。政策決定者が、世界を間違った方向ではなく、正しい方向へと動かす可能性を高めるような、情報と知識に裏付けられた思想的な基盤とビジョンをわれわれは常に必要としている。冷戦末期以降、『文明の衝突』、『歴史の終わり』、『大国政治の悲劇」』という三つの壮大なビジョンが表明された。ベルリンの壁が崩壊した段階ではフクヤマは真実の鐘をならし、9・11以降の世界政治についてはハンチントンの予測は現実を言い当てていた。中国パワーが今後開花していけば、ミアシャイマーも現実を言い当てることになるのかもしれない。だが、ハンチントン、フクヤマ、ミアシャイマーは未来の何を言い当てて、どこを読み誤ったのか。それを理解することが、世界が必要とする第4のビジョンを描く鍵となる。

  • 政策の前提としての思想
  • 民主主義への収斂か多様性か
  • 西洋と「その他」
  • 9・11以降
  • 歴史を再度動かすのは中国か
  • 壮大なビジョンの限界

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