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ロシアの「内なる外国」北カフカスの混迷
―― 終わりなきロシアの内戦

チャールズ・キング ジョージタウン大学教授(国際関係論)
ラジャン・メノン リーハイ大学教授(国際関係論)

The Russia's Invisible Civil War

Charles King ジョージタウン大学教授(国際関係、政治学)。最近の著書に『ナショナリズム、社会暴力、そして東欧の終焉』がある。
Rajan Menon リーハイ大学教授(国際関係)、ニューヨーク市立大学教授(政治学)。最近の著書に『同盟関係の終わり』がある。

2010年10月号掲載論文

ロシアにおける政治暴力の震源地帯、北カフカス。この地域の混迷にどう対処していくべきか、モスクワは頭を悩ませている。攻撃と報復の連鎖が止まないのは、この地域に流れ込んでいるイスラム過激派のせいなのか、ナショナリズムの高揚が過激な行動を誘発しているのか、それとも、北カフカスの人々がロシアに対して抱く反発が原因なのか。だが、北カフカスをめぐる問題の中枢は、ロシア連邦内でのこの地域の共和国の位置づけられ方にある。北カフカスにおけるテロを一定レベルに抑え込もうとしつつも、モスクワは、この地域で治安と安定を確立できなくても、ロシア人の多くが惨劇に巻き込まれなければ、政治的ダメージは最低限に抑え込めると計算している。現地の展開は現地に委ね、ロシアの有権者がカフカス問題を忘れてくれることを願うこと。これが、モスクワの現在の戦略だ。ロシア政府が現地に代理人、総督を送り込み、力による秩序維持路線をとり続ける限り、この地域は、ツァーリ時代のような「厄介でエキゾチックな帝国の周辺地域」へと回帰していくことになる。

  • ロシアを揺るがすテロの震源地、北カフカス
  • 北カフカスとは
  • ロシアとの歴史的関係
  • チェチェン戦争の本質
  • 「紛争の現地化」を望むモスクワ
  • 北カフカス混迷の本当の理由は何か
  • ロシアの「内なる外国」

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