メザニン集団の台頭
―― 国の内側から蝕まれる中東・南アジア諸国
The Rise of Mezzanine Ruler
2011年1月号掲載論文
レバノン、イラク、アフガニスタン、パキスタンでは、政府と民衆の間に割り込むようにメザニン(中二階)集団が台頭し、確固たる権力を確立しつつある。国に救いを求めても無駄だと考える人々はメザニン集団を血族集団のようにみなし、連帯を強めている。ヒズボラ、マフディ軍、タリバーン、アルカイダ、ラシュカレトイバなどの、メザニン集団は、社会サービスや治安を提供することで、民衆の忠誠を勝ち取り、政府にはできない形で人々を鼓舞する力をもっている。問題は、政府にこれらのメザニン集団を管理する力がなく、しかも、国際法でも、この集団が作り出す問題にうまく対処できないことだ。聖域を利用するメザニン集団は、トランスナショナルなテロの拠点とされているだけでなく、政府を不安定化させる力も持っている。状況を放置すれば、国際的な平和と安定に壊滅的なダメージがおよぶ恐れがある。
- メザニン集団とは何か
- メザニン集団としてのヒズボラ
- アフガン・パキスタンとメザニン集団
- メザニン集団の優位はどこからきているのか
- メザニン集団と政府の力関係
- メザニン集団と国際法
- 取り込むべき集団、排除すべき集団を区別するには
- 構造的再編
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