Review Essay
なぜ援助では貧困を緩和できないのか
―― 中国とインドが援助に依存せずに成長を遂げたのはなぜか
Banned Aid ―Why International Assistance Does Not Alleviate Poverty
2010年3月号掲載論文
善意に根ざしているにも関わらず、援助が適切に用いられる条件が整っていなければ、援助は世界の貧困国を助けるのではなく、ますます追い込んでしまう。歴史が何らかの指針になるのなら、貧困に対する戦争を闘う主要な武器は先進国からの援助ではなく、途上国における政策路線のリベラルな改革だ。その理由を知りたければ、最近における中国やインドの成長と、一方で停滞に苦しむアフリカの途上国のコントラストに目を向ければよい。援助を被援助国の健全な開発政策とうまくリンクさせ、援助を適切に使う意思をもつ国に対してだけ供与するのなら、開発援助も貧困国の助けになる。重要なのは、援助を注ぎ込むにために世界的なキャンペーンを行うことではない。途上国の市民や指導者が、自分たちの運命を形づくるような経済政策の改革とその実施という選択を、襟を正して下すかどうかだ。
- 開発援助が開発を遅らせる?
- 対外援助をする理屈の変遷
- 利他主義から自己利益へ
- 誠実な意図を生かす方法はあるのか
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