新興国という無責任な利害共有者 ―― 時代は「協調なき、多極化」へ
Irresponsible Stakeholder ―― The Difficulty of Integrating Rising Power
2010年12月号掲載論文
アメリカのパワーが衰退していくにつれて、台頭する新興国は既存の制度を試し、弱め、改革して自分たちの目的に合致するように作り替えようと試み始めている。既存の大国と新興大国の間だけでなく、新興大国どうしの戦略的ライバル関係も高まりをみせている。各国が演じているゲームは一つではない。金融改革や対テロでは協調するかもしれないが、市場シェア、戦略資源、政治的影響力、軍事的優位をめぐっては競いあっている。問題は、アメリカを含む先進国が、パートナー、そしてライバルとしての二つの顔を持ち、国際社会での発言権を強化したいと望みながら、一方では自国を途上国と定義する新興諸国との関係をどのように管理していくかだ。新しい国家を制度に取り込む一方で、可能な限り、これまでの秩序を維持していくには、2世紀前のヨーロッパの大国間協調がそうだったように、常に綱渡りをしているような細かな配慮が必要になる。
- 新興国の台頭で多様化するグローバルビジョン
- 新興国の秩序統合は困難をきわめる
- 多国間協調なき多極化
- 新興国は責任を伴わない権力拡大を望んでいる
- 新興国の二つのアイデンティティ
- 変化を制度化することに対する先進国の躊躇
- 新興国との壮大な取引
- アメリカは相手に譲ることを学べ
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