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アメリカパワーの将来
―― 今後を左右するのは中国ではなく、スマートパワーだ

ジョセフ・ナイ ハーバード大学教授

The Future of American Power

Joseph S. Nye Jr. ハーバード大学教授。この論文の一部は、近く出版されるThe Future of Power( Public Affairs, 2011)からの抜粋。

2010年12月号掲載論文

軍事力を例外とすれば、今後、アメリカの文化も経済も21世紀初頭のようなパワーを失い、世界的な優位を保つことはないだろう。そして、今後の国家間政治においてもっとも重要な要因は、アジアが世界舞台への復活を続けていることだ。だが、中国がアメリカをアジアから締め出せるはずはない。アメリカが古代ローマのように内側から朽ち果てていったり、中国を含む国家に取って代わられたりすることはあり得ない。アメリカにとって重要なのは、移民への開放性を維持し、国内の中・高等教育を改革し、債務問題への対策をとり、制度と価値の多くを共有するヨーロッパ、日本との連帯を強化していくことだ。21世紀のスマートパワーのストーリーは、パワーを最大化することでも、覇権を維持することでもない。それは、パワーが拡散し、その他が台頭する環境のなかで、いかに自国のパワーリソースを優れた戦略に結びつけるか、その方法を見いだすことだ。

  • アジアの台頭
  • 衰退論の心理学
  • 中国の台頭は脅威か
  • 移民はアメリカのパワーを強化する
  • 債務リスクはあるが、米経済は弱くない
  • 教育改革と労働力
  • 重要な日本、ヨーロッパとの連帯
  • 21世紀をスマートパワーの物語にするには

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