CFRミーティング
財政赤字へのリスク認識が変化しない限り、資金は動かない
――アラン・グリーンスパンとの対話
A Conversation with Alan Greenspan
2010年10月号掲載論文
雇用は伸びていないが、企業収益は大幅に改善している。これは生産性の上昇によって単位あたり生産コストが減少していることで説明できる。だが、それが、固定資産投資へとつながっていない。私の試算では4000億ドルの投資が手控えられている。・・・・中央銀行が大規模な資金を金融システムに注入するが、そこから資金が動こうとしない。ケインズは、1936年にこの現象を「流動性の罠」という言葉で表現した。この現象は、アメリカだけでなく、他の先進国にも共通してみられる。リスクに対する心理や姿勢が変化しない限り、資金は動かないだろう。・・・大規模な財政赤字が資本投資をクラウドアウトしている。財政赤字の規模が、資本投資のレベル、特に、固定投資、非流動性資産への投資を左右している(抑え込んでいる)。・・・・日本問題も考えなければならない。いずれ、経常黒字は赤字へと転じ、日本は国際市場から資金を調達しなければならなくなる。・・・
- 財政赤字が投資を抑え込む
- 住宅市場と経済回復
- 深刻な失業率、財政赤字、投資の不調
- 留学生の頭脳流出
- 量的緩和と流動性の罠
- なぜ金価格の上昇、財政赤字の悪夢
- いずれ表面化する「日本問題」とは
<財政赤字が投資を抑え込む>
モート・ザッカーマン われわれは、おそらくこの50~60年で最悪かつもっとも深刻な経済危機のさなかにある。危機を前に、政府は、金融政策、財政政策の両面でかつてない積極策をとった。大胆な財政、金融上の対策が実施されて2年半が経つが、市場の反応は非常に限定的だ。アラン、ここからわれわれはどこへ向かおうとしているのか。適切と思われる財政政策はどのようなものだろうか。経済を動かすにはどのような金融政策が必要だろうか。・・・
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