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ロシアのNATO加盟を
―― 汎ヨーロッパ安全保障秩序の確立を

チャールズ・クプチャン ジョージタウン大学教授(国際関係論)

NATO's Final Frontier

Charles A. Kupchan  ジョージタウン大学国際関係学教授。米外交問題評議会シニア・フェロー。最近の著作に『旧敵はいかに友人になったか』がある。専門はNATO、EU、バルカン、米国家安全保障戦略など。

2010年7月号掲載論文

欧米が、ロシアのことを「戦略的なはぐれ者」として扱い続けるのは、歴史的な間違いだ。ナポレオン戦争後や第二次世界大戦後に大国間の平和が実現したのは、かつての敵対勢力を戦後秩序に参加させたからだという歴史の教訓を思い起こす必要がある。冷戦後の現在、ロシアのNATO加盟を実現させることが、汎ヨーロッパ秩序を構築する上でも、NATOの今後に関する論理的な矛盾をなくす上でも最善の方法だろう。グローバルな課題、G20などの国際機関の改革に取り組んでいくにはロシアの協力が不可欠だし、ロシアを参加させれば、加盟国間の内なる平和を促すという、NATOのかつての機能を再確立することにもなる。平和的な汎ヨーロッパコミュニティの実現という新しい目的は、NATOの存在理由を取り戻すことにもつながる。確かに、ハードルは高い。だが、プーチン首相は、大統領になって間もない時期に「ロシアの利益が考慮され、ロシアが(欧米の)完全なパートナーになれるのなら、自分はNATOへのロシアの参加という選択肢を排除しない」と述べている。いまこそ、欧米は決意を持ってプーチンの真意を確かめるべきだろう。

  • ロシアをポスト冷戦秩序のどこに位置づけるか
  • 外からの防衛と内なる平和
  • ロシアをNATOに参加させるべき五つの理由
  • ロシアのNATO加盟反対論を抑え込むには
  • 関係諸国での抵抗を抑え込むには
  • 中東欧とロシアでの反対を克服するには

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