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欧米のソフトパワーとハードパワーを融合させよ
―― EUとNATOの連携強化を

ウィリアム・ドロズディアク ドイツ・アメリカ評議会会長

The Brussels Wall

William Drozdiak  ワシントンポスト紙の記者としてベルリン、パリなどの支局長、同紙外報部長を務めた後、米ジャーマン・マーシャルファンドのエグゼクティブ・ディレクターなどを経て、現在は、アメリカとヨーロッパの政治、ビジネス、メディアの交流を目的とする非営利組織、ドイツ・アメリカ評議会会長。

2010年6月号掲載論文

NATOは軍事同盟だが、EUは軍事力の行使には否定的で、むしろ、開発援助、教育その他の領域への支援、つまり、ソフトパワー路線に価値を見いだしている。これは、NATOのハードパワーにEUのソフトパワーをまとわせれば、地球温暖化、破綻国家、人道的悲劇といった今日的課題に米欧が協力して対処していけるようになることを意味する。そのためには、EUとNATOの連携を強化しなければならない。そうしない限りEU、NATOという欧米のもっとも重要な二つの機関も、今後、時代に取り残された凡庸な存在と化し、最終的には無力化していくだろう。この2つの機関の連携を強化して大西洋同盟を新たに再生することが、(中国とインドという)台頭するアジアパワーを前に、アメリカとヨーロッパがグローバルな影響力を強化していくためのもっとも効果的な方法だろう。

  • アジアパワーと欧米
  • なぜEUとNATOは疎遠だったか
  • 新しい問題への柔軟で幅のある対応を
  • ヨーロッパのソフトパワー志向を生かすには
  • ソフトパワーとハードパワーのバランスをとるには

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