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複雑系の崩壊は突然、急速に起きる
―― グローバル経済とアメリカという複雑系の将来

ニーアル・ファーガソン ハーバード大学歴史学教授

Complexity and collapse

Niall Ferguson イギリス人の歴史家で、現在はハーバード大学歴史学教授。オックスフォード大学のフェロー、フーバー研究所のシニアフェローも兼務。最近の著作にThe Ascent of Money: A Financial History of The World.

2010年4月号掲載論文

歴史は循環的で、その流れはゆっくりとしか変化しないという考えがもし間違っていたら。周期性がなく、静的であるとともに、スポーツカーのように、急発進するとしたら。崩壊プロセスが数世紀という時間枠で進むのではなく、夜の泥棒のように、突然にやってくるとしたら。複雑系には一定の特徴がある。小さな刺激で非常に大きな、そして、しばしば予期せぬ変化が急激に起きることだ。グローバル経済はまさしく複雑系だ。格付け会社による米債券の格付けの引き下げといった、突然の悪い知らせが、緊急ニュースとしてヘッドラインを飾る日がやってくるかもしれない。今後を考える上で、非常に重要な鍵を握るのは、こうした突然の変化だ。過去の帝国や現在のグローバル経済のような複雑適応系では、それを構成する一部の有効性に対する信頼がなくなっただけでも、システム全体が非常に大きな問題に直面する。

  • 帝国の興亡
  • 複雑系の崩壊
  • 帝国の崩壊は短期間で起きる
  • 複雑系は「カオスの縁」を越えて一気に崩壊する

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