エタノール燃料は本当に人と地球に優しいのか
How Biofuels Could Starve the Poor
2007年5月号掲載論文
原油価格が高いレベルで推移し、一方で環境問題への関心が高まるなか、世界的に代替燃料としてのエタノールが注目を集めている。しかし、トウモロコシや大豆を原料とするエタノール生産は世界の穀物供給を逼迫させ、価格を高騰させている。メキシコのトルティーヤ粉だけでなく、サハラ砂漠以南、その他のアフリカ、アジア、ラテンアメリカの貧困地域の主食であるキャッサバの価格も2010年までに33%、2020年までに135%上昇すると考えられている。バイオ燃料の需要増によって主要産品の実勢価格が1%上昇するごとに、世界で食糧難に苦しむ人々の数は1600万人ずつ増えていく。しかも、栽培・生産のために多くのエネルギーを必要とするトウモロコシや大豆は、環境を汚染する作物だ。エタノールを真にグリーンで持続可能な代替燃料とするには、木や草のセルロースからの生産の実用化を期待するしかない。
- エタノールバブル
- バイオ燃料産業を左右する原油価格
- エタノールの政治学
- トルティーヤか車の燃料か
- 木片、草からのエタノール生産を
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