日米安全保障条約50周年の足跡と展望
―― いまも安保はグランドバーゲンか?
The United States-Japan Security Treaty at 50
―― Still a Grand Bargain?
2010年3月号掲載論文
ワシントンは、鳩山政権が普天間問題をめぐる結論を出すのに、もっと時間を与えるべきだ。より全般的には、民主党が選挙で勝利を収めたことを、アメリカが手助けをして蒔いた民主主義の種が日本で根を張ったことの証しとして、もっとも祝福して評価すべきだ。この点での認識ができれば、日本がペンタゴンの要請に対してこれまでのようにおとなしく従うと期待すべきではないこと、そして、日本の政党が安全保障問題をめぐって独自の見解をもつ権利を持っていることを理解できるようになるはずだ。・・・日本における米軍部隊と基地のプレゼンスを小さくしていく代わりに、日本政府は相互安全保障と世界の平和のためにより大きな貢献をしなければならないし、集団的自衛のための活動に参加する権利を持っているとはっきりと表明すべきだろう。
- 安保条約は日本に恩恵をもたらしているか
- 旧安保からの安保改訂
- ニクソン・ショック、貿易摩擦から新ガイドラインへ
- 同盟関係がもたらす恩恵とコスト
- 新しい政治風景、基地公害、思いやり予算
- 日米にとっての沖縄
- 安保条約の再交渉を
<安保条約は日本に恩恵をもたらしているか>
岸信介首相とクリスチャン・ハーター国務長官が、日米間の歴史的な安全保障条約に調印したのは1960年1月19日。この条約を通じて、日本が攻撃された場合にはアメリカが日本の防衛を助けること、一方、日本は駐留米軍に国内の基地と港を提供することが合意された。
ベトナム戦争、ソビエトの崩壊、北朝鮮の核武装、中国の台頭など、この半世紀の間に国際環境は大きく変化した。そもそも日米の歴史と文化は大きく違っていたし、両国は貿易紛争や感情論をぶつけ合うような対立局面も経験した。それでも、日米間の安全保障合意は手堅く維持されてきた。実際、日米の安全保障合意は、1648年のウェストファリア条約以降のいかなる同盟関係と比べても、長期にわたって維持されてきた。
安保条約が、日本の安全を保障し、東アジアでアメリカが大きな影響力を維持するのに大きな貢献をしたことを考えれば、日米同盟の今後は明るいと結論づけることもできる。だが、2009年8月の総選挙で、民主党(DPJ)が、ほぼ54年にわたって政権党の座を維持してきた自民党に対して地滑り的な勝利を収めると、「安保条約がもたらす恩恵はいまもそのコストを上回っているのか」という声が聞かれるようになった。・・・
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