CFRブリーフィング
金融規制案は危機の本質を見落としている
―システミックリスクの震源は債券保証会社だった
Financial Regulation's Fatal Flow
2010年3月号掲載論文
オバマ政権は「金融機関によるヘッジファンドなどへの危険な投資を許してはならない」と金融機関への規制強化案を発表し、米議会でも、金融規制法案の整備が続けられている。だが、CFRのエコノミスト、マーク・レビンソンは、現在の規制案では、システミックリスクの大きな要因を取り除けないと言う。システミックリスクの根っこは「証券に組み込まれた住宅ローンのデフォルトが増えてくると、証券そのものが焦げ付き始め、債券保険会社に巨額の保険金を支払う十分な資金がないのではないかとの懸念が広がり始めた」ことにある、とレビンソンは指摘する。そして「政府の危機管理担当者が遅ればせながら債券保証会社が問題に直面していることを認識した時、別の問題が出てきた。連邦政府はこの問題に関する情報をほとんど持っておらず、対応しようにもその手段を欠いていた。債券保証会社は州政府の監督下にあり、連邦政府は権限を持っていないからだ」。当然、規制案を見直して、保険産業への米連邦政府の監督権限を明確に確立しないことには、システミックリスクを取り除けず、米政府は「今後も危機に対応できないままだろう」と同氏は警鐘を鳴らしている。
- システミックリスクの震源に目を向けよ
- アメリカ特有の監督システム
- 保険産業が内包する三つのシステミックリスク
- 問題に適切に対処する
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