女性を助ければ、途上世界が救われる
The Better Half ―Why International Assistance Does Not Alleviate Poverty
2010年3月号掲載論文
途上国の女子教育への投資は、経済成長を促し、貧困の悪循環を断ち切るうえで極めて有効な策だ。教育を受けた女性たちの場合、一人あたり出生数は少なく、産婦死亡率も低く、彼女たちは、家族の食事、健康、教育にも力を入れる。その結果コミュニティー全体に好循環が生まれる。こうした事実に世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、CAREといった主要な援助機関だけでなく、企業も気づき始め、途上国の支援対象としての女性の役割に注目するようになった。女性のエンパワーメント(権利擁護と社会的解放)を大きな社会経済的成果へと結びつけた中国とルワンダという実例もある。途上国の女性への教育に援助の焦点を合わせるべき根拠は数多くある。
- 女性が直面する忌まわしい現実
- 女性の役割
- 中国とルワンダのケース
- 女性を救うための文化、風習との闘い
<女性が直面する忌まわしい現実>
2009年8月、アフリカを訪問したヒラリー・クリントン米国務長官は、忙しいスケジュールをぬって、ケニアの女性農家、コンゴのレイプの被害者、マイクロファイナンスをもとにビジネスを始めたアフリカの女性起業家など、複数の女性団体のメンバーたちに会いに出かけている。
南アフリカでは、(多くの妻を持つことで知られる)ジェイコブ・ズマ大統領との会談に費やした2倍の時間を、ケープタウン近郊で進められている女性住宅プロジェクトの視察にあてている。クリントンがグラスルーツの女性団体に多くの時間と労力を割くのは、「国務長官としての威信に関わる」と眉をひそめるむきもあれば、アメリカの国務長官が女性の権利を重要な外交課題に掲げたことを賞賛する声もある。一方、クリントン長官は、自分の行動に注目が集まれば、各国政府の「優先順位の見直し」を前向きに刺激できると述べている。
なぜ優先順位を変える必要があるのか。ここに取り上げるニコラス・クリストフとシェリル・ウーダンの共著『天の半分』は、その理由を力強く説明している。「世界の多くの地域で女性や少女たちが日々残忍な扱いを受けていることは、21世紀最大の人権問題の一つだ」と2人は主張している。
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