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CFRミーティング
国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、
健全な金融、そしてガバナンスにある

●スピーカー
ポール・ケネディ/イエール大学歴史学教授
●プレサイダー
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長

The Sinew of Power
: Rediscovering the Foundation of National Strength

Paul Kennedy イエール大学歴史学教授。代表的著作『大国の興亡』は、日本を含む23カ国で翻訳出版され、世界的ベストセラーになった。

2010年2月号掲載論文

国のパワーを支える上で重要なのは、製造技術と生産基盤、健全な金融とその健全さを保証する制度(ガバナンス)という三つの要因、そして、そして戦略的に計算され、優先順位を踏まえた外国へのエンゲージメントだ。この三つ要因と戦略が国のパワーをうまく支えてくれる。・・・私は、国内基盤こそがパワーの中核だと考えている。生産力や強さの源泉は国内になければならないと考えている。・・・そして戦略とは、目の前にある問題への対策ではなく、より総体的で長期的なもので、それを考案するには、自分の強さと弱さに関する厳格な自己分析が必要になる。

  • 健全な製造基盤、金融、ガバナンス(部分公開)
  • 戦略的思考の前提は何か
  • 21世紀における大国の興亡

<健全な製造基盤、金融、ガバナンス>

ポール・ケネディ 今日のテーマである「国家パワーを支える基盤」についての歴史的な分析を話すつもりだが、今日的な意味合いについても触れようと思う。今日のテーマに関連して私の個人的エピソードを三つ、簡潔に話したい。

第1のエピソードは、私が育った幼少期の環境だ。私は造船所のすぐ近くの家で育ち、辺りにはいつも造船所からの大音響がこだましていた。私の家の隣が、ネルソン、アンダーソンといった戦艦を作り、最初に客船モーリタニア号を作ったスワン・ハンター&ウィグハム・リチャードソンの造船所だったからだ。

私の父と叔父たちは造船所で、ボイラーメーカーかリベット工として働いていた。学校に行く途中に、大型の軍艦や旅客船が進水するのをよくみかけた。近くに行けば、親たちが何を作ったのかをこの目でみることができた。つまり、国力を物質的に支える鉄、電線、15インチ砲を私は日常的に目にしていた。

国力を支えるもう一つの側面を知ったのは、もっと後で、私がニューキャッスルのカトリック系のグラマースクールで18~19世紀のイギリス経済史を学んだときだ。このコースで私は産業革命や農業革命だけではなく、金融、イングランド銀行、株式市場の役割、そして18世紀の非常に規律あるイギリス議会が果たした役割を学んだ。

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