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ブレジンスキーが読み解く
三つの地政学アジェンダと今後の大国間関係
――オバマ外交の真価が問われるのはこれからだ

ズビグニュー・ブレジンスキー  元米国家安全保障問題担当大統領補佐官

From Hope to Audacity

Zbigniew Brezezinski カーター政権期の1977年から1981年まで国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めた。最近の著作にセカンド・チャンスがある。

2010年2月号掲載論文

ブレジンスキーが「早急な対応を要する地政学アジェンダ」として具体的に特定しているのは、中東和平プロセスの再開と決着、イラン問題、アフガン・パキスタン問題。そして、重要な大国間関係として描いているのは、ロシア、中国、ヨーロッパとの関係だ。注目すべきは、「中国を経済パートナーとしてだけでなく、地政学的なパートナーとして扱う」ことをオバマ政権がすでに決めていると指摘していること、さらに、ブレジンスキー自身、「米中首脳レベルでのサミットを「地政学的な米中G2」として育んでいくべきだと提言していることだ。冷戦に敗れた事実を認め、帝国の過去へのノスタルジアをモスクワが捨て去ることが、旧ソビエト地域の安定と民主化につながると提言するブレジンスキーは、「ヨーロッパ」についても、「世界でどのような役割を果たすかについての内的なコンセンサスを持たない相手と、グローバル規模での純然たる戦略的協調を形成していくのは難しい」と厳しい判断を下している。

  • 外交概念の刷新を終えたオバマ政権
  • オバマ政権の政策決定スタイル
  • イスラエル・パレスチナ交渉を先に進めるには
  • 対イラン路線をめぐる政権内対立
  • アフガン・パキスタン問題
  • ロシア・中国・欧州との地政学的関係は
  • 変化する社会と高まる期待にどう対処すべきか

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