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NATOを中枢に据えた
グローバルな安全保障ネットワークを形成せよ

ズビグネフ・ブレジンスキー 元米国家安全保障担当大統領補佐官

An Agenda for NATO Toward a Global Security Web

Zbigniew Brzezinski コロンビア大学教授を経て、カーター政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官に。ハーバード大学教授を経てニクソン政権の大統領補佐官となったヘンリー・キッシンジャーと比較されることも多い。両氏はともに、大学教授時代に、米外交問題評議会のタスクフォースのディレクターを務め、その後、外交デビューを果たしたという点でも共通点がある。ソビエト・ロシア、ユーラシアの地政学が専門。最近の著作に、『セカンドチャンス――3人の大統領とアメリカのスーパーパワーの危機』がある。

2009年9月号掲載論文

第二次世界大戦後のグローバル秩序が形骸化すると同時に、パワーが分散し、世界の大衆の政治的覚醒に伴う状況への反発が高まっている。これらが重なり合って、一触即発の危険な状態が生じている。この現実を踏まえて、NATOの集団安全保障条項を再定義し、NATOとロシア・旧ソビエト諸国の関係、NATOと中国、日本、インドとの関係を、グローバルな安全保障ウェブの一部として関連づけていく必要がある。中国、日本、インドとNATOの共同理事会の立ち上げも視野に入れるべきだろう。だが、一部で提言されているように、NATOをグローバルな同盟関係に変貌させたり、グローバルな民主国家連盟へと拡大させたりするのは良い考えではない。そうではなく、NATOが様々な地域的安全保障協調枠組みのネットワークの中枢を担う経験、制度、手段を備えていることを認識した上で、ロシア、旧ソビエト諸国、中央アジア、アジアとの安全保障上の連携を試みるべきだ。

  • NATOの歴史的偉業と今日的課題
  • 「西洋の内戦」を終わらせたNATO
  • 集団安全保障条項の誕生
  • 米ソ冷戦の本質
  • 冷戦の終結とNATOの東方拡大
  • 戦後国際秩序の衰退
  • NATOはアフガンにどう関与すべきか
  • 集団安全保障条項の再定義を
  • ロシアとの関係をどうするか
  • NATOと中国、日本、インドの連携を
  • 安全保障ウェブの中核に身を置くには

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