Review Essay
インドの将来を「思い描く」
―― 弱点を優位に変えた国の将来は

エドワード・ルース
フィナンシャル・タイムズ紙 ワシントン支局長

The Prospects of a Country on the Rise

Edward Luce フィナンシャル・タイムズ紙の南アジア支局長を経て現在はワシントン支局長。著書に『In Spite of the Gods: The Strange Rise of Modern India』(『インド 厄介な経済大国』田口 未和(翻訳)、日経BP社)  

2009年8月号掲載論文

「とてつもなく大きな課題を前にして萎縮しつつも、そうした課題に正面から取り組めば大きな機会を手にできると期待している。インドはこの二つの思いの間で揺れている」とニレカニは言う。彼は、お粗末な公衆衛生政策、エネルギー供給の欠陥、環境対策への無関心をそうした課題として指摘する。「長期的にみて、潜在力を開花できずに失望にくれるか、期待を上回る成果を挙げるか。インドの行き着く先は、そのどちらかだ」とみる彼は、かつては短所や欠陥とみられていたものが、むしろ長所、強みとなっていると彼は言う。人口の多さ、混沌とした民主主義、植民地時代の屈辱を思い出させる英語、これらの短所がいまや大きな資産となっている。だが、今後の多くは、環境悪化とエネルギー問題にどう取り組んでいくか、そして有能な人材を海外から呼び戻せるように国内の体制を整備できるかによって決まる。

  • インド経済の異端児 ナンダン・ニレカニとは
  • かつての弱点が今はアセットに 
  • 環境問題とエネルギー問題
  • インドの政治

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