21世紀を制するのは中ロか、欧米か
――権威主義的資本主義国家の復活という虚構
The Myth of the Autocratic Revival
2009年2月号掲載論文
ネオコンサーバティブの理論家が提言するように、権威主義国家の復活に対して、リベラルな民主国家が団結して封じ込め、軍事競争、排他的なブロック形成という路線で対抗しても、そうした国々における非自由主義的なトレンドを強化するだけだ。対照的に、地球温暖化、エネルギー安全保障、(感染症などの)疾病などの、世界が共有するグローバルな問題に彼らと協調して取り組んでいけば、権威主義国家が現在のリベラルな秩序に見いだしている価値をさらに高めることができる。つまり、民主主義国家は、相手とのイデオロギー上の違いに注目するのではなく、現実の問題、共有する問題に実務的に協調して取り組んでいくべきなのだ。政治体制ではなく、共有する利益に基づく連帯を模索すれば、反自由主義的な権威主義国家がブロックとしてまとまっていくのを回避することもできる。何よりも、リベラルな民主主義国家は歴史の流れが依然として自らの側にあることを忘れてはならない。
- 権威主義国家の台頭?
- 近代化への道筋をめぐる論争の歴史
- 日独が戦争に敗れた理由
- 権威主義国家台頭論の虚構
- 21世紀は19世紀の再現になる?
- リベラルな民主主義プロジェクトを
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