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独自路線を選んだロシア
 ――グルジア紛争の本当の意味合い

チャールズ・キング ジョージタウン大学教授

The Five-Day War : Managing Moscow After the Georgia Crisis

Charles King ジョージタウン大学外交学部教授。近著に『自由の亡霊――カフカスの歴史 (”The Ghost of Freedom: A History of the Caucasus”) 』がある。

2008年11月号掲載論文

ロシアはこの2世紀にわたって、西洋との大きな対立局面を経た後には、西洋との協調への期待を高めながらも、幻滅して国内に引きこもるというパターンを繰り返してきた。そして、未来の歴史家は南オセチア危機のことを、ロシアが既存の国際的ルールを無視して、独自のやり方を貫くようになった時代の始まりとして解釈することになるだろう。ロシアは(周辺地域に)積極的に軍事介入する時代へと足を踏み入れ、国連安保理や欧州安保協力機構(OSCE)など、多国間機構をほとんど重視しなくなった。いまやクレムリンも平均的なロシア人も、世界のことなどどうでもいいと思い始めている。「既存の多国間機構はアメリカとヨーロッパ主要国のあからさまな利益追求のための隠れ蓑にすぎない」と考えだしているからだ。
 だが、ロシアと欧米間の溝が深まっていくとしても、それが新たな冷戦の到来を意味するわけではないだろう。むしろ、それは米ロが、自らの矛盾を自国の市民と世界にどれだけきちんと説明できるかをめぐる新しいデリケートな競争になるだろう。

  • 歴史的思考パターンの復活か
  • 共和国内国家とロシア軍の役割
  • 変貌したロシアと国際秩序
  • ロシアの行動は地域的に支持されている
  • 新冷戦?

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