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「ヨーロッパ」の第二次東方拡大か、 ロシアの勢力圏拡大か
――今後の「ヨーロッパ」の安定の鍵を握る黒海・カフカス地域

ロナルド・D・アスムス/元米副国務次官補

Europe's Eastern Promise: Rethinking NATO and EU Enlargement

Ronald D. Asmus アメリカのシンクタンク「ジャーマン・マーシャル基金」のトランス・アトランティックセンター(ブリュッセル)専務理事。1997~2000年には米副国務次官補(欧州担当)を務めた。

2008年9月号掲載論文

1990年代は中央・東ヨーロッパに民主主義を定着させることが課題とみなされていた。だが現在は、さらに東側のヨーロッパとアジアが出会うユーラシアを安定化させるというさらにむずかしい課題にわれわれは直面している。トルコ、ウクライナ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなど、バルカン半島から黒海、南コーカサスにいたる地域の安定化が問われている。南北を不安定な中東と敵対的なロシアに囲まれているこれらの国々が、ヨーロッパ大西洋コミュニティーの南方における新たな「側壁」を形成しつつあることを認識すべきだ。現在の西バルカン地域、グルジア、ウクライナなどの黒海周辺地域は、10年前の中央ヨーロッパや東ヨーロッパよりもさらに不安定で大きな危険にさらされている。

  • 新局面を迎えた「ヨーロッパ」拡大策
  • ヨーロッパ拡大策の成功と余波
  • 「ユーラシアへのヨーロッパ拡大」と対ロシア関係
  • 不透明な未来をめぐる三つのシナリオ
  • 第二次ヨーロッパ拡大戦略を実施せよ

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