アメリカの相対的衰退と無極秩序の到来
――アメリカ後の時代を考える
The Age of Nonpolarity
2008年5月号掲載論文
現在の国際システムの基本的特徴は、国がパワーを独占する時代が終わり、特定の領域における優位を失いつつあることだ。国家は、上からは地域機構、グローバル機構のルールによって縛られ、下からは武装集団の挑戦を受け、さらには、非政府組織(NGO)や企業の活動によって脇を脅かされている。こうしてアメリカの一極支配体制は終わり、無極秩序の時代に世界は足を踏み入れつつある。そこでは、相手が同盟国なのか、敵なのかを見分けるのも難しくなる。特定の問題については協力しても、他の問題については反発し合う。協調で無極化という現象を覆せるわけではないが、それでも、是々非々の協調は状況を管理する助けになるし、国際システムがこれ以上悪化したり、解体したりしていくリスクを抑え込むことができる。
- ノンポラリティーとは
- 新しい世界秩序
- 一極支配時代の終わり
- アメリカのパワーはなぜ衰退したか
- 無極化が導く無秩序
- アメリカに何ができるか
- 是々非々の多国間主義
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