中国の台頭と欧米秩序の将来
The Rise of China and the Future of the West
2008年1月号掲載論文
台頭途上にある大国は、新たに手にしたパワーを基に、自国の国益に即したものへと国際的なルールと制度を書き換え、グローバルシステムにおける、より大きな権限を手にしようと模索し、一方、衰退途上にある国は、影響力の低下を懸念し、それが、自国の安全保障にとってどのような意味合いを持つかを心配し始める。この瞬間に、大きな危険が待ち受けている。だが、新興大国が秩序に挑戦するか、それとも、自らを秩序に織り込んでいこうとするか、その選択は、目の前にある国際秩序の性格で大きく左右される。重要なポイントは、相手がアメリカだけなら、中国が(覇権国としての)アメリカに取って代わる可能性も排除できないが、相手が欧米秩序であれば、中国がそれを凌駕し、取って代わる可能性は大きく低下するということだ。ワシントンがそうした環境づくりに向けてリーダーシップを発揮するつもりなら、現在の秩序を支えているルールと制度の強化に努め、この秩序をより参加しやすく、覆しにくいものにしなければならない。
- 中国の台頭で現秩序は覆される?
- 何が秩序変革を左右するのか
- 欧米秩序の特質とは
- 台頭する国家を秩序に内包していくには
- 平和的なパワーシフトに向けて
- リベラルな秩序の勝利
<中国の台頭で現秩序は覆される?>
中国の台頭が21世紀における壮大なドラマの一つであるのは間違いない。中国の驚くべき経済成長と積極果敢な外交路線はすでに東アジア秩序を変貌させているし、今後数十年にわたって、中国のパワーと影響力はますます拡大していくと考えられる。だが、このドラマがどのように展開し、いかなる結末を迎えるのかはわからない。中国は既存の秩序を覆してしまうのだろうか、それとも秩序の一部に自らを織り込んでいくのだろうか。中国の台頭を前に、アメリカが現在の世界における地位を維持していくためにできることはあるのか。
「欧米秩序はいまや、東の秩序に取って代わられつつあり、アメリカの時代は終わりを迎えようとしている」とみなす専門家もいる。歴史家のニオール・ファーガソンは、血塗られた20世紀は「欧米の衰退」を目撃し、世界秩序の中枢は西から東へとシフトしつつあると指摘している。
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