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パキスタンの混迷への正しい外交路線とは
――軍と政治の実態に目を向けよ

ダニエル・マーキー/米外交問題評議会シニア・フェロー

2007年8月号掲載論文

アメリカはイスラマバードがもっと積極的にテロ対策を実行するように求めるべきだし、必要なら、ムシャラフを見限って、文民による民主的統治を要求すべきだという声もある。しかし、現状で、パキスタン軍との信頼関係をさらに傷つけるのは大きな問題だし、民主主義体制の導入をやみくもに求めても問題の解決にはならない。秋に総選挙と大統領選挙を控えたパキスタンにとって、社会の反イスラム過激派勢力を結集し、民主化への移行を少しずつ進める最善の選択肢は、パキスタン人民党(PPP)とムシャラフによる連立政権を成立させることだ。ワシントンの選択肢は「ムシャラフか民主主義か」ではないし、「ムシャラフかイスラム過激派勢力か」でもない。現在のパキスタンは軍と民主主義の双方を必要としている。アメリカがイスラム過激派と暴力との戦いに勝利を収めるには、パキスタンの文民に力を与えると同時に、パキスタン軍の信頼を勝ち取るしかない。

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