Classic Selection
21世紀は権威主義的資本主義大国の時代になるのか
The Return of Authoritarian Great Powers
2007年8月号掲載論文
現在の中国とロシアは、日独が第二次世界大戦に敗れた1945年以降、姿を消していた権威主義的資本主義パワーの再来にほかならない。日独の場合、アメリカを相手にするには、人口、資源、潜在力があまりに小さすぎたが、中国とロシアは、日独よりもはるかに国家規模が大きいし、そもそも、権威主義体制下の資本主義のほうが民主体制下の資本主義よりも効率が高い。実際、日独という権威主義的資本主義国家が戦後も存続していれば、アメリカにとって、共産主義中央統制経済のソビエト以上に大きな脅威と課題をつくりだしていたかもしれない。中国とロシアに代表される権威主義的な資本主義国家が、近代性の進化をめぐってリベラルな民主主義の代替策を提示することになるかもしれないし、グローバル経済に自分のルールで関与するようになるかもしれない。リベラルな民主主義が、最終的に勝利を収めるという保証はどこにもなく、権威主義的資本主義がリベラルな民主主義に代わる魅力的な選択肢とみなされるようになる可能性もある。
- 「歴史の終わり」の終わり
- なぜ権威主義的資本主義は敗れ去ったか
- 民主国家の勝利とアメリカファクター
- 権威主義的資本主義国家の台頭
- 権威主義の中国か、民主主義のアメリカか
<「歴史の終わり」の終わり>
現在の「リベラルで民主的なグローバル秩序」は二つの脅威に直面している。一つは、イスラム過激派の脅威だ。イスラム過激派を支持する勢力はリベラルな民主的秩序を不快に感じているし、昨今では、イスラム過激派運動を(20世紀における)ファシズムと同様の脅威とみなす人も多い。だが、イスラム過激派の脅威とは、貧しく停滞している社会が作り出す脅威であることを認識すべきだろう。
イスラム過激派が、近代化の推進をめぐって民主主義に対抗できるような代替策を持っているわけでも、先進諸国に深刻な軍事的脅威を与えているわけでもない。彼らが作り出す脅威とは、非国家アクターであるイスラム過激派が大量破壊兵器(WMD)を入手して現実に使用する可能性、つまり、潜在的な核使用のリスクを作り出すことにほかならない。・・・
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