石油シーレーンの安全確保と海軍力
Smooth Sailing
2007年5月号掲載論文
ますます多くの国が中東からの輸入石油への依存を高めるなか、グローバルな石油シーレーンの安全確保が注目されるようになり、中国やインドのように、石油タンカーを守るために外洋展開型海軍の整備を検討している国もある。だが一般に考えられているのとは逆に、テロ集団の行動や紛争によって、石油シーレーンの航行が脅かされるリスクはかなり小さくなってきている。タンカーが大型化し頑丈につくられるようになったために、機雷、潜水艦、そしてミサイル攻撃に対しても打たれ強くなっているし、仮にテロリストが石油タンカーをシンガポール海峡に沈めることに成功しても、海峡を封鎖できるわけではない。唯一、海洋の交通路を完全に遮断する力を持つ米海軍も、公海上の航行の安全を守ることを心がけており、国際輸送に干渉するような行動をとることはあり得ない。
- シーレーンの安全は確保されているか
- 海に浮かぶ要塞としてのタンカー
- ホルムズ、マラッカ、シンガポール海峡
- 中台紛争と海上封鎖
- シーレーンに対する大きな脅威は存在しない
- アメリカの役割
<シーレーンの安全は確保されているか>
石油を積んで長い距離を移動する石油タンカーが(テロ、海上封鎖その他の)危機にさらされていることは、世界の指導者にとって大きな心配事であり、各国の海軍力の整備に関する議論にも、石油タンカーの安全航行をめぐる不安が影を落としている。実際、中国やインドの軍事分析者は、タンカーが石油を積み込んで自国の港へ運ぶ航路、つまり、石油シーレーンの安全を守るには、外洋展開型海軍を整備する必要があると主張し始めている。
グローバルな石油供給のほとんどがタンカーで輸送されていることを思えば、こうした議論が起きるのも無理はない。世界最大の石油消費国であるアメリカの場合も、消費する石油の60%を輸入に依存しており、輸入石油の95%は石油タンカーで運ばれてくる。世界で3番目の石油消費国である日本にいたっては、消費する石油のほぼすべてをタンカーによる輸入に依存している。・・・
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