Virgiliu Obada/shutterstock.com

アメリカの家計貯蓄増大とグローバル経済
――ドル価値は低下し、各国の対米輸出は低下する

マーチン・フェルドシュタイン ハーバード大学経済学教授

Martin Feldstein ハーバード大学経済学教授。全米経済研究所(NBER)所長。

2006年6月号掲載論文

これまで世界各国の生産増大と雇用を支えてきたアメリカの旺盛な消費にもついに陰りが見え始めてきた。今後アメリカの消費は衰え、家計貯蓄が増えていく。アメリカにとって貯蓄増大は、長期的には外資への依存率を引き下げ、米企業の設備投資、生産性を向上させ、将来の生活レベルを引き上げるような構造的投資が進むことを意味する。しかし一方で、世界経済は大きな課題を抱え込むことになる。高い貯蓄率は実質金利を引き下げ、ドル価値は低下して、アメリカの輸出競争力は高くなる。この現象は、アメリカの輸出が増大し、輸入が減って経常赤字の対GDP比バランスが回復され、完全雇用が実現するまで続く。他の諸国にしてみれば、それは輸出の低下とアメリカからの輸入増大を招くことになる。重要なのは、諸外国が、生産と雇用を維持できるように内需拡大策を準備しておくことだ。

  • アメリカの消費とグローバル経済
  • なぜ消費ブームが起きたか
  • 貿易赤字と外資対米流入の構図
  • なぜアジア諸国は外貨準備を増やすのか
  • 貿易

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

Page Top