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イラク・シンドローム

ジョン・ミューラー オハイオ州立大学教授

The Iraq Syndrome

John Mueller オハイオ州立大学教授。専門は 政治学。著作に、『戦争、大統領、世論――湾岸戦争の政策と世論』『戦争の余波』がある。

2005年12月号掲載論文

米兵犠牲者の増大とともに、世論の戦争への支持は低下する。そして、こうした戦争への支持率の低下を挽回するために大統領にできることはほとんど何もないし、支持率の低下は、戦争が終わっ ても歯止めが利かない。こうして、戦争後にはアメリカ社会での対外介入への嫌悪感が高まる。すでにイラク・シンドロームとでもいうべき対外介入を嫌悪する感情が高まりをみせつつある。対外介入を忌み嫌う戦後のシンドロームによって大きく損なわれるのは、ブッシュ・ドクトリン、単独行動主義、先制攻撃、予防戦争、そして世界にとって不可欠の国としてのアメリカという自己イメージに他ならない。とすれば、イラク戦争から最終的にもっとも大きな利益を引き出しているのは、イラク同様に悪の枢軸と名指しされた国々なのかもしれない。

  • 戦争と世論
  • 戦争の大義の消失と支持率の低下
  • 撤退すべきか、否か
  • イラク戦争への支持が高まることはない
  • イラクから撤退すれば
  • イラク・シンドロームの余波

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