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真にリベラルな国際主義ビジョンを
――保守派から国際主義を奪還せよ

スザンヌ・ノッセル 元米国連大使補佐官

Smart Power

Suzanne Nossel マッキンゼーなどの民間企業を経て、リチャード・ホルブルック元米国連大使の国連改革担当補佐官を務めた。現在はメディア企業ベルテルスマン社のディレクター。

2004年4月号掲載論文

9・11以降、リベラルな国際主義を乗っ取った保守派は、単独行動主義に人権や民主主義のレトリックをまとわせている。しかし、ブッシュ政権の軍事偏重主義は、彼らがハイジャックしているリベラルな国際主義の理念とは本質的に相いれるものではない。21世紀におけるリベラルな国際主義を再興させるために、リベラルな国際主義者は、共和党の政策決定者からこの思想を奪い返し、保守派に悪用されないようにしなければならない。自由・自由貿易・人権の促進という野心的なアジェンダに取り組んでいくことが、長期的には、テロリズムその他の脅威に対する安全を高めていく最善の方法である。

  • リベラルな国際主義を保守派から奪い返せ
  • 国際主義の興亡
  • 国際主義を悪用するブッシュ政権
  • 対テロ戦争に理念を持たせよ
  • 国際協調を
  • 力強い国際主義を表明せよ

<リベラルな国際主義を保守派から奪い返せ>

アメリカは対テロ戦争を戦い、脅威に対しては積極的に先制攻撃戦略をとり、単独で行動する権利を持っている。保守派の外交政策決定者たちの間では、9・11以降こうした路線をめぐってコンセンサスが形成されている。対照的に、困惑し、傍流に甘んじている進歩派の政策決定者は、ブッシュ政権の主流派とは大きく異なる路線を主張している。問題は、進歩派の求める一連の路線がどのようなものであるか、彼らが明確で一貫性のある定義をしていないことだ。

自らが掲げる野心的なアジェンダに沿って、アメリカの外交路線を変えていく歴史的な機会を手にしているにもかかわらず、進歩派がこのような状態にあるのは困りものだ。アメリカはパワー面での圧倒的な優位を持ち、大国間の紛争も存在しない。一方で、9・11ゆえの不安や懸念が社会に蔓延し、ブッシュ政権の軍事優先主義への批判が高まりをみせている。つまり、現大統領の外交路線に代わる、ビジョンに裏づけられた力強い代替策を示す政治的機会がそこにあるにもかかわらず、進歩派はこれを生かしきっていない。・・・

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