中国に蔓延するHIVの脅威
China’s HIV Crisis
2003年1月号 掲載論文
中国のHIV感染ルートには、南部の国境周辺における麻薬用の注射針の使い回しによる感染、東部沿岸地域での性交渉による感染、そして内陸諸省における違法で危険な売血による感染という三つがあり、これらが一つに収斂しつつある。
国連エイズ計画(UNAIDS)は中国のHIV感染者は百万人以上であると推定しているが、実際にはその二倍、三倍の感染者がいる可能性もある。UNAIDSは、対策を講じなければ、二〇一〇年までに中国のHIV感染者は二千万人に達すると警告している。
- 繁栄の代価
- 社会的変化とHIVの蔓延
- 麻薬の回し打ちとHIV感染の増大
- 主な感染経路は何か
- 伝統とタブー
- 横行する血液ビジネスとHIV感染
- 形骸化する公衆衛生制度
- 時すでに遅し?
- 中国のHIV対策には国際協力が必要だ
<繁栄の代価>
「豊かになるのは素晴らしいことだ」。中国の指導者、鄧小平はかつて中国の民衆をこう鼓舞したものだ。さらに彼は、改革・開放路線を擁護し、「新鮮な空気を部屋に入れようと窓を開ければ、一緒にハエも入ってくるものだ」とも述べた。
中国が改革・開放路線を導入し、二十年もの高度成長期を経た現在、鄧小平が口にした二つのフレーズの意味合いはプラス・マイナスの両面で明白となっている。中国は富の増大、一人当たりの国内総生産(GDP)の上昇、生活水準の向上を手にしたが、その一方で、環境問題の悪化、政治の不安定化、犯罪の増加、形骸化する社会保障制度などの問題に苦しんでいる。ほかの発展途上国と同様に、中国は近代化の恩恵とコスト間の難しい選択に直面している。・・・
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