統治危機が招く中国の憂鬱な未来
――世界の対中認識は間違っている
China's Governance Crisis
2002年9月号掲載論文
中国における腐敗の蔓延、地方官僚の士気の低下、エリート層のシニシズム、大衆に広がる幻滅などの社会現象は、統治能力の低下を示す典型的症状だ。いまや中国は、多くの点で、ブレジネフ時代のソビエトの政治的停滞と、スハルト時代のインドネシアでの情実資本主義と全く同じ病巣を抱え込んでいる。統治能力の悪化は、外国企業にとっての対中貿易・投資のコストやリスクを増大させ、現在の経済発展は程なく色あせたものとなり、その後には、長期的な停滞が待ち受けている。世界は、長い間受け入れてきたバラ色の中国の未来像、それも、おそらくは希望的観測が形づくった中国像を再検討する時期に来ている。
- 華やかなイメージ、憂鬱な現実
- 社会の必要性に応えられないシステム
- 社会主義市場経済の崩壊
- 共産党の衰退
- 低下する共産党の社会的凝集力
- 統治能力の低下が引き起こす諸問題
- 財政問題と農村の不満
- 社会的不満にどう対処すべきか
- 中国の未来イメージを再考せよ
<華やかなイメージ、憂鬱な現実>
ワシントンでは、中国指導層の世代交代の結果を予想することがいまや流行のゲームと化している。それが世界最大の国の行方を大きく左右する以上、中国の権力交代が大きな関心を集めているのも無理はない。すべてが順調に進めば、中国共産党(CCP)は二〇〇二年秋に開かれる予定の党大会で若い新指導層を選出する。
七十六歳の江沢民中国共産党総書記(国家主席)は政界から引退するかもしれず、五十九歳の胡錦涛国家副主席が総書記になるのではないかと巷では取りざたされている。絶大な権力を持つ共産党中央政治局常務委員会メンバーのほとんど、そして、中央委員会メンバーの多くも一新されると考えられている。朱鎔基首相も二〇〇三年の三月には一線から退く予定だし、李鵬全国人民代表大会常務委員会委員長も引退するかもしれない。・・・
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