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京都合意を超えて
――現実的な地球温暖化対策とは何か

トマス・C・シェリング メリーランド大学経済学名誉教授

What Makes Greenhouse Sense?

Thomas C. Schelling メリーランド大学名誉教授(経済学)。一九四〇年代後半から五〇年代前半にかけて、アメリカのマーシャル・プラン、NATOの設立などを、エコノミスト、そしてアメリカ政府官僚として同時代に経験し、その後、封じ込め戦略、核戦略、軍備管理問題の経済的側面からの分析を行ったことでも有名。合理的アクターの戦略と行動などの、ゲーム理論の大家としても知られ、主要な著書には『The Strategy of Conflict』がある。現在は、地球温暖化問題をめぐって積極的な発言を続けている。一九二一年生まれ。

2002年6月号掲載論文

どのように温室効果ガスの排出を削減できるかもわかっていないのに、特定の目標期日までの排出の量的削減という「結果」にコミットしても意味はない。排出権取引という概念も、排出量の少ない国に賄賂を払って条約を批准させ、自分たちは金で量的削減の帳尻を合わせる、ごまかしにすぎない。主要な先進諸国は、今後数十年にわたって温室効果ガス排出削減のために自ら犠牲を払い、その後、発展途上国を関与させる必要がある。膨大な資源がかかわる地球環境問題を解決する鍵は、削減に向けた各国の「自発的」な取り組みのプロセスと、合意を尊重するメカニズムをどうつくるかにある。

  • 京都合意を政治的に悪用するな
  • まずは先進国が範を示せ
  • 不確定要因の多さ
  • 温室効果ガスの排出量はいずれ減少する
  • 自発的な削減努力ではうまくいかない
  • 排出権取引というごまかし
  • NATOとマーシャル・プランを範にせよ
  • 結果を約束できる根拠はあるのか
  • 富を拡散させるには

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